── 専務のお仕事について教えてください。
主に仕入れと販売を担当しています。
浜や問屋、本州の市場、輸入業者など、幅広い取引先とやり取りしています。
うちは工場を持たないスタイルなので、日々いろんな取引先と関わりながら、お客様に合った商品を見つけて届けるのが仕事です。
── 専務が考える「魚の商売の難しさ」とは?
やっぱり「定価がない」ことですね。
魚は日によって、産地によって、品質によって値段が全く違う。
1000円の日もあれば500円の日もある。
同じ魚でも「味」も「見た目」も一つとして同じじゃない。
だから最終的に大事なのは「人との関係」と「目利きの力」です。
ただ、関係が深くなりすぎると、甘えが出てしまうこともある。
だからこそ、信頼し合いながらも、きちんとけじめをつけてやっていくことが大切だと思います。
── 「魚を見れる人」が減っている、という話がありましたね。
そうなんです。昔の人は「自分で買った魚は必ず食べろ」って言っていました。
食べて初めて、良いものか悪いものかがわかる。
でも今は、魚を「見て」判断できる人が少なくなってきています。
資料やデータだけでは分からない部分が多いですからね。
そういう意味で、「魚を見れる人」が減っているのは業界全体の課題だと思います。
── 最近の商売の変化をどう感じますか?
昔は「人と人」でつながる商売でした。
今は、ルールや書類で確認しながら進めることが多くなっています。
それは安心・安全のためにも大事なことです。
ただ、その一方で、「本当に良いものを見極める力」や「相手を信頼できるかどうか」という感覚も、やっぱり大切なんです。
きちんとルールを守りながらも、人と人の信頼を積み重ねる。
その両方を大事にできるのが、理想の商売だと思います。
── これまでで印象に残っている出来事はありますか?
若いころ、大手チェーンの居酒屋さんにホッケを納品したことがありました。
でも、決まった規格に合う魚が全然獲れなくて大変でした。
どうにもならなくて、最後に工場の社長に相談したら、
「海に聞いてくれ」って言われたんですよ(笑)。
その一言が今でも忘れられません。
自然が相手の仕事だから、どんなに頑張っても思い通りにはならない。
でも、その“どうにもならなさ”も含めて、この仕事の魅力なんです。
── 若い人やこれから入社する人に伝えたいことは?
この仕事は、数字だけじゃ測れない世界です。
魚を見る目、人を見る力、そして信頼を積み重ねる根気。
そのどれもが、一日や二日で身につくものじゃない。
今はデータで何でも見える時代だけど、見えないところを感じ取れる人が強い。
そんな人に来てほしいですね。